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2005年3月15日

サーチ全盛時代のメディア企業戦略

サーチ全盛時代のメディア企業戦略

ライブドアとニッポン放送の報道が連日メディアを埋め尽くしている。ファイナンス、M&A、堀江社長のキャラクターに強く焦点が当たっているが、個人的にはメディアビジネスがどのように変化していくかの先行ケースのひとつとして見ている。

渡辺聡氏の「情報化社会の航海図」より。

比べているのは米国でNew York TimesがAbout.comを買収し、Washington PostがSlateをMicrosoftから買収しているなど古参のメディア企業がインターネット企業を買っている動きである。

堀江社長が口にする「メディアがインターネットを飲み込まないとダメなんですよ」というのは、まさにアメリカで起きつつあるこうした動きのことで、日本ではインターネット企業がメディアを買収しようと試みている訳です。似たような動きとしては、アメリカではAOLがTime Warnerを買収しましたが、それ自体は成功とは言えませんでした。ですので、ライブドアがどのような相乗効果を生むことができるかは非常に興味のあるところです。

そして、アメリカで起こっている「古参のメディア企業がインターネット企業を買っている動き」というのも、いずれ日本に“輸入”されるのではないかと思っています。

New York TimesがAbout.comを買収した意図を、Searchblogから次のように引用しています。

ウェブ上でサーチの存在感が増したことによるユーザー導線の変化と「the long tail」の言葉にまとめられつつある収益ポイントの変化に対応するためだと。インターネット上でメディアビジネスを展開するにあたり、彼らが勝ちパターンに必要と考えたのがAboutを獲得することであった。

最近、「long tail」というキーワードが新たなキーワードとして認知されつつありますが、それを踏まえた上での買収であった、と。

About.comはサーチエンジン広告からの収入が最大化されるようにサイトの作り変えを行ってきていた。いわゆるSEOである。結果、通常15%弱のクリック率が20%まで向上した。
サーチからのトラフィックを上手く活用し、如何に収益に結びつけるかはコマースサイトではもはや常識と言えるが、メディアサイトでも重要度は増している。New York Timesが欲したのは、このノウハウとなる。

例えば弊社でもSEOのノウハウを蓄積しています。さらに、Movable Typeを活用したブログサイト運営に関するノウハウも持っています。と考えると、もしかすると新聞社や出版社から買収を打診される可能性も否定できないのかもしれません。全くの畑違いですが、オールドメディアとニューメディアが融合し、新しいメディアに生まれ変わっていく途中の過程としては当たり前なのかもしれません。

既にキーのひとつとなるコンテンツ、一次情報と品質の良いコラム記事群は保有している。同時に、広告媒体として優れたブランドもある。tailとheadのうち、headは保有している。あとは、tail=aboutと外から得られたトラフィックを上手く捌くサイトの作りを手に入れれば良い。

良いコンテンツを書けるブロガーがいれば、毎月数十万PVのサイトを立ち上げるのも、そう難しくない時代ですから、いくつもの「long tail」を束ねてビジネスにすることも、日本でも十分にあり得る時代になりつつあるのではないでしょうか。

Posted by enatural at 2005年3月15日 18:10